万葉集の枕詞(5)

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02 /27 2018
(2)万葉集巻13の枕詞 ⑤
 今まで調べて来たものから、いよいよ本論に入ります。日本の国名や地名に関する枕詞で、万葉集と記紀歌謡(逸話も含む)にあり、万葉集の使用頻度が少ない枕詞。そのような枕詞は6個認められます。6個の枕詞は現在も知名度があり、いずれも日本の古代を象徴するにふさわしい印象があります。ところが、先に述べたように万葉集ではあまり使われていないのです。一方、記紀の記載が詳しかったりするので、現在でも、出典根拠は記紀の記載に求められてしまうのではないでしょうか。つまり、記紀歌謡が万葉歌よりも古い時期にできたものであると理解されているのです。。
 それで、また長い出典根拠を抽出してしまいますが、読まれる方は我慢してください。今後の論拠になるからです。6個の枕詞が載る万葉集のそれぞれの歌を枕詞ごとに挙げて、その作成年代を推定して掲げて見ました。各歌には、題詞や左注が案外と付いており、作者や作歌事情が分かるからです。その分かる範囲で各歌を、古い順に並べて見ました。巻13の歌だけが作者、作歌年代とも不明歌なので、最初に置いて順番を付けずに○印で示します。参考までに記紀歌謡等の出典も付けてみました。

●「あしはらの→瑞穂(みづほ)」
(万葉集―5首)
 ○13-3227 長歌(読み人知らず:女性) 
 ○13-3253 長歌(題詞「人麻呂歌集の歌に曰く」) :701年遣唐使を送る歌という説あり
 ① 2- 167 長歌(人麻呂の草壁皇子挽歌)     :689年草壁皇子没
 ② 9-1804 長歌(田辺福麻呂歌集の挽歌)     :738年以降の歌人と思われる
 ③18-4094 長歌(大伴家持の賀歌)         :題詞等から749年作
(記紀:1首他)
 ①記紀神話 -天孫降臨「葦原中国(あしはらのなかつくに)を平らげおへぬ」
 ②記歌謡20番ー葦原のしけしき小屋に(神武天皇「皇后の選定」)

●「そらみつ→やまと」
(万葉集:6首)
 ○13-3236 長歌(み人知らず:男性)
 ①1-   1  長歌(雄略天皇の国見歌)      :479年頃
 ②1-  29  長歌(人麻呂の「近江荒都」歌)   : 690年頃
 ③5- 894  長歌(山上憶良の遣唐使を送る歌) :733年作
 ④19-4245 長歌(作者不詳:天平5年時入唐使に贈った歌) :733年作
 ⑤19-4264 長歌(入唐使に賜へる歌)      :752年作
(記紀:3首)
 ① 記歌謡72番―倭の国に(仁徳天皇「雁の卵」)
 ② 記歌謡97番―倭の国を(雄略天皇「あきづ野」)
 ③ 紀歌謡75番―倭の国を(雄略天皇「あきづ野の口」)

●「あきづしま→やまと」
(万葉集―5首長歌)
 ○13-3250 長歌(読み人知らず:女性)
 ○13-3333 長歌(読み人知らず:女性)
 ① 1-   2 長歌(舒明天皇の国見歌)  :641年頃
 ②19-4254 長歌(大伴家持の歌)     :751年作
 ③20-4465 長歌(大伴家持の歌)     :756年作

●「しきしま(磯城島)の→やまと」
 ○13-3248 長歌(読み人知らず:女性)
 ○13-3249 反歌(読み人知らず:女性)
 ○13-3254 反歌(人麻呂歌集の長歌の後) :701年遣唐使を送る歌という説あり
 ○13-3326 長歌(読み人知らず:女性)
 ① 9-1787 長歌(笹金村の歌)         :732年作 
 ②19-4280 短歌(大伴黒麻呂の歌)      :732年作
 ③20-4465 反歌(大伴家持の歌)        : 756年作
(記紀:崇神天皇紀)
 天照大神をトヨスキイリヒメノ命に託して、笠縫邑(かさぬいむら)に磯城の神籬(ひもろぎ)を立てて祀った(伊勢神宮の起源が説かれている)。 

●「つぎねふ→やましろ」
(万葉集:1首)
 ○13-3314 長歌(問答 読み人知らず:女性)
(記紀:6首)
 ① 記歌謡58、59―つぎねふや山代河を
 ② 同上 62、64―つぎねふ山代女(やましろめ)の
 ③ 紀歌謡53、54-つぎねふ山背河を

●「神風の→いせ」
(万葉集:6首)
 ○13-3234 長歌(雑歌 読み人知らず:女性)
 ○13-3301 長歌(相聞歌 読み人知らず:女性)
 ① 2- 162 長歌(挽歌 持統天皇の歌)      :686年頃
 ② 2- 163 短歌(挽歌 大伯皇女の歌)      :686年作
 ③ 4- 500 短歌(相聞歌 都に留れる妻の歌)  :692年頃
 ④ 1-  81 短歌(雑歌 長田王の歌)        :720年(古事記奉納と解釈した場合)
(記紀:3首)
 ① 記歌謡14番―伊勢の海の(神武天皇「久米歌」)
 ② 紀歌謡 8番―伊勢の海の(神武天皇「来目歌」)
 ③ 紀歌謡78番―伊勢の野の(雄略天皇)

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万葉集の枕詞(4)

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02 /22 2018
(2)万葉集巻13の枕詞
 「中学受験用学習用資料の枕詞(30例)」中、万葉集巻13で使用された枕詞は22個あり、73%の出現率です。各巻の使用状況を調べていないので断定できませんが、集中で使用数の少ない枕詞も巻13に含まれているので、きっと他の巻と比較すればダントツの出現率を示すと思います。同じネット上にある「日本大百科全書(ニッポニカ)に記載された枕詞36個」も、30個の枕詞が巻13使用の枕詞でした。30/36で、83%の出現率です。現代の異なる枕詞一覧が、それぞれ巻13の枕詞を高い比率で選択しているのは注目してよいと思います。

 現在の枕詞一覧で、なぜ巻13の枕詞の出現率が高くなるのか。それは偶然ではなくて、明快な理由があるのです。万葉集の枕詞全体を見渡すと、使用頻度数の高い枕詞が巻13で多数使用されているからです。例えば万葉集で20個以上使用された枕詞は、25個(種類)ありますが、巻13では22個(種類)も使用され、82%の出現率なのです。第一の理由は、使用頻度の高い枕詞が多数巻13で使用されているからです。
 しかし、現在の枕詞一覧は、使用頻度によって抽出していないことを見て来ました。「あきづしま」「神風の」「しきしまの」等の枕詞は、万葉集中では5~7回の使用しかありません。このような枕詞は使用頻度が低くても、古代の重要な枕詞としてチェックアップされているのです。記紀の逸話と歌謡に纏(まつ)わって登場した古代の枕詞と見られているからです。その古代の言葉と見なされた枕詞を、巻13が内包しているのです。巻13がいかにこれら特殊な古代の枕詞をも含んでいるか、記紀歌謡(5人の天皇代)で調べた枕詞を挙げて検証して見ます。

 「記紀歌謡の7個の枕詞」
 以下の7個の枕詞は、記紀歌謡(5人の天皇代)にあり、かつ万葉歌と重複した32個の枕詞に含まれるものです。同時にこの7個は、万葉集の使用個数が10個以下に該当する枕詞です。下記の右側の分数は、分母が万葉集の使用数、分子が巻13の使用数を示しています。

 「記紀歌謡の7個の枕詞」 
(枕詞)  (かかる言葉) (巻13歌の使用数/万葉集全体の使用数)
①神風の  →伊勢      2/6   
②あしはらの→倭       2/5
③つぎねふ →山背      1/1
④そらみつ →大和      1/6
⑤かりこもの→乱る      1/8
⑥ももたらづ→五十、山田  2/5
⑦おしてる →難波      1/10


 記紀歌謡にある7個の枕詞は、全て巻13の歌でも使用されているのです。この記紀歌謡で使用された頻度の少ない枕詞(万葉集で)を、巻13の歌が全部使用している。これが巻13の枕詞の出現率が高くなる第二の理由です。

 万葉集の使用頻度の高い枕詞をほとんど使用し、一方で記紀に盛られた古い逸話と歌謡に関連して登場する枕詞で、使用頻度の少ないものを全て使用する巻13の歌。巻13の歌群は、枕詞に関しこのような二面の強い引力を発しているのです。それが、現在の枕詞一覧を作成した場合でも、巻13が関係してくる大きな理由になると考えます。

万葉集の枕詞(3)

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02 /21 2018
   万葉集巻13と記紀歌謡の枕詞(3)
 「中学受験用学習用資料の枕詞(30例)」は、作成した人の考えで選んでいるのだから、私がこの選ばれた30例から枕詞の意義を考えるのは変かも知れません。
ですが、その枕詞は、どんなイメージによって選ばれているか。そんなことが頭をよぎり、確たる目的もなく、遊び半分でやって見ました。30個の枕詞を、①万葉集、②巻13、③記紀歌謡、④柿本人麻呂の関係歌という4つの区分で使用状況を調べてみたのです。その結果、面白いことに気付いたので3点を挙げて、その問題を述べてみたいと思います。

(1)万葉集以外の出典にある枕詞
 小学生教材の枕詞に万葉集にない枕詞が2つも含まれていました。その一つ「出雲立つ」は、記紀歌謡にあるスサノヲノミコトの歌です。古今集仮名序に言う地上で最初に詠われたクシナダヒメとの新室祝(にいむろほぎ)の歌です。万葉歌に全くない言葉かというと、柿本人麻呂の歌に「八雲さす出雲の子」(3-430)という類句がありました。こちらは、出雲娘子を火葬した時の挽歌です。祝歌と挽歌という全く逆の関係にあります。言葉の意味から言えば、人麻呂の「八雲さす」の方が合理的な意味合いがあって、「出雲立つ」の方が影響を受けたと考えてもいいくらいです。
 もう一つ「ほのぼのと」も、万葉集には見られない枕詞です。出典根拠が不明ですが、「たそがれにほのぼのみつる花の夕顔」という歌が源氏物語の夕顔の巻にあります。「(夜を)あかし」たいという思いを深読みすると、「明石」にかかる枕詞と結びつくようで、関係がないか想像してしまいました。
 人麻呂や源氏物語を結びつけてしまいましたが、私が気付いた問題は、万葉集以外の枕詞なのです。記紀歌謡の枕詞はあまりに少なくて、記紀歌謡にしかない枕詞も、現在に残るものがほとんどなかったのです。この資料では1個ありましたが、万葉集に全くないわけではありません。一方、「ほのぼのと」は万葉集に見当たりません。出典根拠も見つけられませんでした。さらに、資料は「枕詞は約1200個ある」と数えています。約1200個の枕詞が認定されているとすると、面白い論点が生じると思ったのです。万葉集の枕詞は、多く見積もっても500個前後、記紀歌謡等を組み入れて加算しても600個を越えないような気がします。すると、残る600個は、平安時代以降の歌にある枕詞になってしまいます。和歌が定着した後に発明された修飾語(枕詞)ということになってしまいます。それは、歌謡論者が説明してきた「伝承された神授の呪詞、あるいは歌謡に残る詞章(ことのは)」にそぐわないのです。平安時代以降の和歌の発展の中で形成された修飾語になってしまうからです。それは古い言い伝えも忘れられた口語、そのようなものとは性質の違う枕詞かも知れないのです。

万葉集の枕詞(2)

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02 /17 2018
   万葉集巻13と記紀歌謡の枕詞(2)
枕詞をインターネットで検索したら、「中学受験用学習用資料」というものが最初にあって、枕詞の説明とともに「枕詞一覧(30例)」が載っていました。その30個の枕詞を次に載せて見ます。

(枕詞)    (かかる語)
①あかねさす →①日、昼 ②君、天皇  
②あきづしま →大和
③あしひきの →山、峰     
④あづさゆみ →①射る ②張る、春、引く ③音 ④末(すえ)    
⑤あまざかる →鄙(ひな) 
⑥あらたまの →年、月、日、春    
⑦あをによし →奈良    
⑧いそのかみ →古(ふ)る、降る、振る    
⑨いはばしる →垂水(たるみ)、滝 ②近江    
⑩うつせみの →世、人、命    
⑪かみかぜの →伊勢    
⑫くさまくら →旅、結ぶ    
⑬しきしまの →大和、日本    
⑭しろたへの →①衣、袖 ②雪、雲、波    
⑮そらみつ  →大和    
⑯たかてらす →日    
⑰たらちねの →母、親    
⑱ちはやぶる →①神、社 ②宇治    
⑲ぬばたまの →黒、夜、月、夢    
⑳ひさかたの →天(あま、あめ)、雨、月、光、都   
㉑もののふの →①十(やそ)、氏、宇治 ②矢、弓削
㉒ももしきの →大宮  
㉓やくもたつ →出雲  
㉔からごろも →着る、袖、裾
㉕さざなみや →①津、志賀、古き都 ②波、寄る、夜
㉖しらぬひの →筑紫(つくし)     
㉗たまきはる →命、世、昔     
㉘たまのをの →①長き、短き ②乱る、絶え、継ぎ     
㉙ははそば(は)の →母     
㉚ほのぼのと →明かし、明石     

 この30個の枕詞は、資料作成者が無作為に抽出したものだと思います。この30個を、万葉集、巻13、記紀歌謡、柿本人麻呂関係の4つの区分で分けると、それぞれの中に何個の枕詞が入っているでしょうか。万葉集は約4500首、巻13の歌数は127首、記紀歌謡は5人の天皇代の歌謡202首(重複歌を含む)です。人麻呂関係は、さらに人麻呂の作歌(約90首)と人麻呂歌集の歌(約340首)に区分しています。本人が作った歌を原則にして、人麻呂歌集(本人の作歌か不明)の歌にある枕詞を補助として考えます。人麻呂の歌を区分にしたのは、枕詞の創始者としての位置付けもある人だからです。
 現代の初歩的な学習資料で使われる枕詞が、4つの区分で見ればどこが多いのかを見てみます。

   万葉集巻13と記紀歌謡の枕詞(3)
 「中学受験用学習用資料の枕詞(30個)」が、下記の4つの区分(●印)で使用されているかどうかを調べたものです。万葉集、巻13は使用個数も計上しています。記紀歌謡、人麻呂の歌は1個でもあれば○印で示しています。歌集の○印は人麻呂の作歌ではなくても、歌集にあることを示しています。

「中学受験用学習用資料の枕詞(30例)」を下記の区分で、表出数を比較する。
 枕 詞  ●万葉集全体  (約4500首)
       ●巻13      (約127首) 
       ●記紀歌謡    (202首以下)
       ●人麻呂作歌    (約90首)
       ○人麻呂歌集   (約340首)
            
 枕 詞  ●万葉集全体   ●巻13     ●記紀歌謡    ●人麻呂作歌 ○同歌集
①あかねさす  11個       2個        ○           ○       ○
②あきづしま    5        2          ○          なし       なし
③あしひきの   12        4          ○          なし       ○
④あづさゆみ   32        1          ○           ○       ○
⑤あまざかる   23        1         なし          ○       ○
⑥あらたまの   37        3          ○          なし      ○
⑦あをによし    28        2          ○           ○      ○
⑧いそのかみ   10        なし        なし          なし      ○
⑨いはばしる    7        1         なし           ○      ○
⑩うつせみの   29        1         なし           ○ ○

⑪かみかぜの   6         2         ○           なし      なし
⑫くさまくら     50        5         なし           ○      ○
⑬しきしまの     7        4         なし          なし      なし
⑭しろたへの    60         2         なし           ○      ○
⑮そらみつ      6        1         ○            ○      ○
⑯たかてらす     7        1         なし           ○      ○
⑰たらちねの   24         2         なし           なし      ○
⑱ちはやぶる   15         2         なし           なし      ○
⑲ぬばたまの   82        10         ○            ○      ○
⑳ひさかたの   50         1         ○            ○      ○
㉑もののふの   21         2         なし            ○      ○
㉒ももしきの    20         1         ○            ○       ○
㉓やくもたつ    なし       なし         ○           なし       なし
㉔からごろも    6        なし         なし           なし       なし
㉕さざなみや   17         1         なし           ○        ○
㉖しらぬひの    3        なし         なし          なし         なし
㉗たまきはる   18        なし         ○           なし         ○
㉘たまのをの   18         2         なし          なし         なし
㉙ははそはの    2       なし         なし          なし         なし
㉚ほのぼのと   なし       なし         なし          なし         なし

        28/30     22/30      12/30       15/30      21/30
        (93%)      (73%)       (40%)       (50%)      (70%)

万葉集の枕詞(1)

24 万葉歌と記紀歌謡
02 /14 2018
   万葉集巻13と記紀歌謡の枕詞(1)
 新日本古典文学体系の「万葉集索引」には「枕詞索引」と「地名索引」が付いています。同文学大系は2004年発行ですから14年前の全集です。古いと言えば古いけれど、図書館ではまだ新しい参考書です。その「枕詞索引」の枕詞数を数えたら398個でした。それから万葉集巻13の枕詞を、ざっと数えて見たら108個です。記紀歌謡は、5人の天皇代の記歌謡(103首)中32個、紀歌謡99首中33個でした。重複した枕詞を除くと、記紀歌謡の枕詞数は47個です。それから万葉集の歌に登場する地名の数もかぞえて見ました。981個でした。さらに地名に係る枕詞もかぞえたら、こちらは154個です。数値は厳密ではないので、概数として考えます。項目順に並べると次のようになります。

 「項目」         「歌数」    「枕詞」(枕詞の発現率)
万葉集全歌          約4500首   398個( 9%)
巻13の歌              127首   108個(85%)
古事記歌謡(5人の天皇代)   103首    32個(31%)
日本書紀歌謡(5人の天皇代)   99首    33個(33%)
記紀歌謡の枕詞数(重複を除く)         47個
万葉集と重複する枕詞(47個中)        (30個)
万葉集の歌に出る地名     981個     154個(39%)

 この数値を見ると、口誦歌で言霊をこめて言い継がえられてきたはずの枕詞が、記紀歌謡ではあまりに少なく、発現率も低いのは意外です。さらに万葉集においても、発現率の低さに驚きます。勿論、一定の枕詞が常套句のように使われたという見方もできます。例えば、一番使用された枕詞「あしびきの(→山)」が112個、二番目に多用された「ぬばたまの→夜」が82個のようにあるからです。でも、この方面から数えても、20個以上で使用された枕詞は、25個(種類)しかありませんでした。
 上の数値だけで見れば、万葉集巻13の枕詞の多さに気付きます。それは出現率の高さでもダントツです。各巻の枕詞数(種類)を数えてはいませんが、おそらく一番高い出現率であろうと思います。確か山口正著「万葉修辞の研究」にあった「枕詞一覧表」(519個)では、178個を数えて、各巻の一番だったと記憶するからです。
 万葉集の枕詞から見ても、巻13の枕詞が他の巻よりも注目すべきことがまず言えるのです。その枕詞は、現在どんな風に捉えられて説明されているのでしょうか。
 

読み人知らず

 東北の田舎に暮らす退職者です。こんな年齢で万葉集を読み始め、読むほどに好きになりました。たくさんの人が万葉集について語っています。
 私も、巻13にある「読み人知らずの歌」を語りたくなりました。誰にも読まれずしんしんと埋もれていくとしても…